鎌原村・鎌原観音堂

鎌原観音堂は、1783(天明3)年8月5日(旧暦7月8日)に発生した土石なだれによって鎌原村全体が埋まってしまった際に、 高台にあり唯一残った建物である。土石なだれに気づいた村民の一部が観音堂に避難して助かったため、観音堂は村民を守った 奇跡の地として知られている。昭和54年の発掘調査で、当時あった50段の石段の最下部に2名の女性の遺体が発見され、 鎌原で起きた災害の悲惨さを伝える。また、すべてを失い離散する運命にあった村民を周辺の有力者が救済するとともに、 家族の再編成を行って埋没した集落の上に現在にも続く集落を復興したという稀有な復興過程などは、歴史的に見ても極めて 価値の高い史跡である。 これらのことは、隣接する嬬恋郷土資料館で詳しく知ることができるが、観音堂には、歴史を受け継ぎ観音堂を大切に守る 「鎌原観音堂奉仕会」の人々が常駐(2月を除く)して、来訪者に鎌原の歴史を語り継いでいる。